太陽熱・石灰窒素利用による土壌消毒法

  • 1) 前作物の除去 - 堆肥稲ワラ 3 ~ 4トン施用 -石灰窒素 100 kg/10 a 施用 - 全面耕起
  • 2) 60 ~ 70cmに畦立て ― 透明古ビニール全面マルチ
  • 3) 一時湛水(畦全体が沈む位に湛水する) - 漏水田では2 ~ 3回補給する。
  • 4) 密閉期間20 ~ 30日間とする。

太陽熱・石灰窒素利用による土壌処理後、同じ試験区に各作物を栽培して発病の推移を観察した。

* 罹病の考察

1.ナス半身萎ちょう病
病株 病 株 率 (%)
区別 1 / XI 17 / XI 1 / XII 13 / XII
処理区 0.0 0.0 0.0 0.0
無処理区 4.3 6.5 10.9 47.8
2. ほうれん草の株腐病
病株立枯株率(%)健全株率(%)
区別12 / IX16 / IX21 / IX12 / IX16 / IX21 / IX
処理区0.00.00.057.365.574.6
無処理区7.210.617.342.738.635.4
3.線虫
調査項目 サツマイモネコブセンチユウ キクネグサレセンチユウ
区別 調査株数 寄生株率 根コブ指数 調査株数 寄生株率 3g当り頭数
密閉処理 464 本 0.0% 0.0% 24 本 0.0% 0.0 頭
無処理 136 本 11.0% 15.4% 12 本 83.3% 103.6 頭

* 総論

植物寄生性線虫は恒温水槽を使った耐熱性試験においても、フザリウム菌等の病原菌に比べて低温度域での死滅が判明している。
線虫類のみを対象とするときは簡易な方法が考えられる。
適用拡大試験および病原菌の埋没試験から、幅広い作物、病害への適用が可能であろう。

ハウス密閉処理による熱と湛水および有機物、石灰窒素施用による土壌の還元化が、植物寄生性の病害虫を致死温度以下で死滅さす。

薬剤による土壌くん蒸、高温殺菌に比べ耐熱性菌類の残存が多く消毒後の病害虫の再汚染の防止や有機物の分解促進に有効に働いていることが推察される。

Source : もう一度見直そう環境にやさしい農法 “太陽熱利用による土壌消毒法”
    1999年 宮本重信(元奈良県農政部 農業改良普及員)

※ご紹介している使用例は欧州等での一般的な使用例であって、日本の農薬取締法上の登録がなされていない使用方法である可能性があります。使用を希望される場合、予め、当該法の登録がなされている使用方法に該当するかご確認いただき、もし該当しない場合には当該使用方法登録後でなければ使用できない旨ご留意ください。